鮭の赤い色には意味がある——アスタキサンチンが肌・目・疲れに関わる理由
アスタキサンチンは鮭・いくら・えびに含まれる赤い色素で、強い抗酸化力を持つカロテノイドです。紫外線ダメージ・目の疲れ・運動後の疲労との関わりを分子栄養学の視点で解説し、食材と摂り方を整理します。

鮭は「赤身魚」ではない——それでも身が赤いのはなぜ?
鮭は分類上は白身魚です。それなのに身がサーモンピンクをしているのは、エサとして食べた藻やプランクトンに含まれるアスタキサンチンという赤い色素が、筋肉に蓄積するためです。
このアスタキサンチンは、強い紫外線や酸素にさらされる環境を生き抜く生物(鮭・えび・かに・いくらの親であるサケ、藻類など)が身を守るために蓄える、天然の抗酸化物質です。鮭が川を遡上するという過酷な運動に耐えられるのも、筋肉に蓄えたアスタキサンチンが酸化ダメージから細胞を守っているからだと考えられています。
紫外線が強くなるこれからの季節、この「赤い色素」が体の中でどんな働きをするのかを見ていきましょう。
メカニズム:細胞膜の「内も外も」守れる抗酸化物質
アスタキサンチンはカロテノイド(β-カロテンやルテインの仲間)に分類されますが、その抗酸化力の強さと、働く場所の広さに特徴があります。
私たちの細胞は、脂質でできた「細胞膜」に包まれています。この膜は活性酸素によって酸化(=サビ)されやすく、酸化が進むと細胞の機能が落ちていきます。
ビタミンC:水に溶ける → 細胞の「外側(水の部分)」を守る
ビタミンE:脂に溶ける → 細胞膜の「内側」を守る
アスタキサンチン:細胞膜を貫いて、内も外も両方守れる
アスタキサンチンは細胞膜を端から端まで貫通する構造を持ち、膜の内側と外側の両方で活性酸素を受け止められるという、ほかの抗酸化物質にはない特徴があります。この性質から、研究の世界で広く注目されてきました。
どんな場面で関わるのか
①紫外線による肌のダメージ
紫外線(特にUVA)は、肌の奥で活性酸素を発生させ、コラーゲンの劣化やシミの一因となります。アスタキサンチンは脂溶性で皮膚にも届きやすく、紫外線で生じる酸化ストレスを和らげる方向に働くと考えられています。「飲む紫外線対策」として注目されるのはこのためです(塗る日焼け止めの代わりにはなりません。両方の組み合わせが基本です)。
②目の疲れ
目の奥にある毛様体筋は、ピント調整のため常に働いている筋肉です。スマホやパソコンで酷使すると、酸化ストレスや血流の低下からピント調整がしづらくなります。アスタキサンチンは血液網膜関門を通過できる数少ない抗酸化物質とされ、目のピント調整のサポートを目的とした研究が行われてきました。
③運動後の疲労
激しい運動は、エネルギーを大量に生み出す一方で活性酸素も増やします。鮭が遡上に耐えるのと同じ理屈で、アスタキサンチンは運動に伴う酸化ストレスを和らげ、疲労感のケアに役立つ可能性が検討されています。
食材:赤い海の幸に多く含まれる
アスタキサンチンは、加熱しても比較的安定しているのが利点です(甲殻類を加熱すると赤くなるのも、隠れていたアスタキサンチンが現れるため)。
| 食材 | 特徴 |
|---|---|
| 鮭(サーモン) | 最も手軽な供給源。天然鮭に多い |
| いくら・すじこ | 卵を守るために高濃度に含む |
| えび・かに | 殻の近くに多い |
| 桜えび | 殻ごと食べられ効率的 |
特別な食材ではなく、鮭の切り身や桜えびなど、日常の食卓で無理なく摂れるのが嬉しいポイントです。
選び方のひと工夫:できれば「天然」を意識して
同じ鮭でも、天然のものと養殖のものでは、餌や育つ環境によって脂の質や含まれる成分が変わることがあります。輸入された養殖サーモンの中には、育て方によって脂の傾向が異なるものもあると言われています。
神経質になりすぎる必要はありませんが、気になる方は、
- 天然の鮭(白鮭・紅鮭・銀鮭など)を選ぶ
- パッケージの産地や「天然/養殖」の表示を見てみる
- 旬の時期のものを取り入れる
といった点を意識すると、より安心して続けやすくなります。脂ののった刺身用サーモンも手軽ですが、ときどき天然の切り身も取り入れる、くらいのバランスがおすすめです。

簡単レシピ:鮭と桜えびのレモン蒸し
アスタキサンチンを2つの食材から摂れる、火を使わずに作れる一品です。
- 生鮭の切り身1枚に塩を軽くふり、耐熱皿にのせる
- 桜えび大さじ1、薄切りレモン2枚をのせる
- ハイオレイック紅花油を小さじ1回しかけ、ふんわりラップをして電子レンジで2〜3分加熱
- 仕上げに刻みパセリを散らす
調理時間:約8分。アスタキサンチンは脂溶性なので、油を少し加えると吸収が高まります。白米とよく合う、彩りのよい主菜です。
摂り方のポイント
- 脂質と一緒に:脂溶性のため、油や魚の脂と一緒だと吸収が高まります
- 継続が前提:抗酸化物質は一度にたくさん摂るより、毎日コツコツが基本
- 塗る対策と併用:紫外線対策は、内側のケアと日焼け止めの両輪で
サプリメントで補う
鮭やえびを毎日食べるのは難しいもの。抗酸化のネットワークは、複数の栄養素が連携して働きます。アスタキサンチンと同じく魚由来で、細胞膜をしなやかに保つオメガ3を組み合わせると、酸化に対する備えを内側から支えやすくなります。
CGN オメガ3——魚由来の抗酸化・抗炎症サポート
EPA・DHAが細胞膜の材料となり、アスタキサンチンが守る脂質環境そのものを整えます。
Biochemical Solution
California Gold Nutrition(iHerb)
Omega 800 超高濃度オメガ3フィッシュオイル
kd-pur®トリグリセリド型オメガ3。EPA480mg・DHA320mgを1粒に高濃縮。細胞膜リモデリング・抗炎症メディエーター(PGE3・LTB5)産生を通じて慢性炎症を抑制。
※ 本リンクはアフィリエイトリンクです。推奨は生化学的エビデンスに基づく個人的見解であり、特定疾患の診断・治療を目的とするものではありません。
まとめ:赤い色素を味方にするポイント
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 正体 | 鮭・えびに含まれる赤い抗酸化色素 |
| 特徴 | 細胞膜の内も外も守れる |
| 紫外線 | 飲む対策として注目(日焼け止めと併用) |
| 目・疲労 | ピント調整・運動後のケアに研究が進む |
| 摂り方 | 油と一緒に・毎日コツコツ |
「鮭の身が赤い理由」を知ると、いつもの食材が少し違って見えてきます。紫外線が強くなる季節、赤い海の幸を食卓に取り入れてみてください。
本記事は教育目的の情報提供です。特定の疾患の治療を目的とするものではありません。気になる症状がある場合は医療機関にご相談ください。
監修:大黒 充晴(柔道整復師(国家資格) / 杏林アカデミー(杏林予防医学研究所)上級講座修了 / JALNIマスター講座修了者 / 臨床歴23年)/ 編集:NJM編集部
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